現状維持バイアスが、やるともやらないとも決めない状態に自分を引っ張ってしまう
■現状維持バイアスが、転職活動の邪魔をする
キャリアコンサルタントをやっていると、いかに「決めたくない」人が多いか、考えさせられる。せっかく当初の願いが叶うような話があっても、選びきれずに終わる人がもう本当にこれでもかってくらい多い。
・いざ内定が出たら、今まで口にしていなかったような希望を言い出す人
・もうすぐ内定が出るというのに、ほかの企業の書類選考を応募してしまう人
・現職への恩を強く感じて辞めにくいとか言っちゃう人
こういうような人たちを見ていると、【現状維持バイアス】の圧倒的パワーをつくづく実感する。
だいたい転職をしようなんて登録をしている時点で、現状に対して不満があって改善したいことを抱えている。にもかかわらず、いざその改善ができるチャンスを目の前にすると、まったく変化が起こらないようにするための思考をしてしまう。
現状維持バイアスが強い人は、とにかく変化が起こりそうなことはいやだから、「オファーを受諾しますか?しませんか?」という二択に対しては、パニックを起こしてしまうんだろう。
できれば「どちらにも決めずにいたい」からだ。
でもあえてどちらか決めなければいけないとなれば、なるべく現状を変えないほうを選択したいから「オファーを受諾しません」となる。
こうしてめでたく現状維持は成し遂げられたが、もちろん現状は何も改善されないままだから不満な気持ちも当然残り続けることになる。
■人生で起こる物事はすべてトレードオフだと思っておいたほうがいい
現状維バイアスにどっぷり浸ってきた人は、何も変えずにきたことによってどんな代償を支払ってきたかについて、自覚が弱い。
Aを選んだらBを手放すことになるし、
Cを選んだらDを諦めることになるし。
そして何も選ばなかったら、現状維持が成し遂げられる代わりに、時間と未来の変化を失っている。
いま選択しないということは、人生の残り時間を現状維持に費やすということだ。
時間の有限性はなかなか普段は自覚ができないから、どれもベストな選択肢ではないなかで選びきれないときに、つい浪費してしまうんだろう。
時間を犠牲にするような選択、つまり「何も選ばないこと」選択をしてしまうことになる。
■やるともやらないとも決めない後悔
「やらないで後悔するくらいならやって後悔しよう」みたいなこというけど、そもそもやるともやらないとも決めないでおくことのほうが、人生ではものすごく多い。
べつになんでも即断即決することを奨励したいわけでも何でもないけど、ともかく言いたいのは、人生は決断と行動の積み重ねなんだ、っていうこと。
現状維持は行動が何も積み重ならないから、人生が前に進んでいかない。
人生のスピードを前のめりにしていきたいなら、いつだってこの二つ。
・やるかやらないかを今決める
・やるかやらないかをいつ決めるかを今決める
決めないでいて、プラスなことは一つもない。
普段から小さなことでも保留せずにすぐに決める癖をつけておけば、いざというときに現状維持バイアスに引っ張られることもなくなってくる。
決断の数だけ、人生のスピードは速くなる。