おしごとオーケストラ

キャリアの仕事がしたい人も転職したい人も。転職エージェントのナカの人、こやとのブログ

「希望条件の通りの求人なのに、なぜか応募したいと思えないんです」

もしかしたら転職活動の経験のない人からしたら、まったく意味がわからないかもしれませんが転職エージェントの立場からすると実際によくある話です。

 

いまの会社を辞めたい気持ちは強いんだけど、

どの求人に応募すればいいのかわからないという方がいます。

 

もちろん、希望はあるんです。

・なるべく経験が活かせる業界がいい、

・なるべく経験のある職種がいい、

・年収は最低でもこれくらいはほしい、

・勤務地はここがいい etc.

 

ただ、それらの条件に見合う求人を前にしても

「この企業は福利厚生が〜」

「こっちは会社規模が不安で〜」

と言っては、新しい観点を引っ張り出して却下して、全然選べないんです。

 

 

私は聞きます。

「もともとなぜ転職したいと思ったんでしたっけ?」

 

この質問をするのは、理屈で考えると、その転職理由が解決できる選択肢なら、転職する意味があるからです。

例えば、年収が低いのが転職理由なら、年収が上がるなら転職する意味がある。

例えば、年功序列が嫌なのが転職理由なら、若い人が多くて実力主義の会社なら転職する意味がある。

 

ところが理屈ではそうなのに、それでも選べないときがあります。

 

私は追加でたくさん質問します。

「今回の転職で何が叶えば、成功したと言えますか?」

「希望勤務地が叶わなかった場合、転職する意味はありますか?」

「年収がこれだけ下がっても転職する意味は何ですか?」

 

そうやって大事なものを一緒に探していくのがキャリアコンサルティングですから。

 

 

最終的にはこんな答えが得られました。

・これまで20代はバリバリ働いてきたが、今後もずっと同じペースで働くイメージがない。

・何か結婚やお子さんなどのライフイベントがあった時に時短勤務など融通が利いたらいい。

・転職してすぐに残業もせず安定を求めることはしないが、ゆくゆくはそんな働き方に移行したい。

 

という大事にしたいことが見えてきました。

 

ここまで言語化できたことで、その後応募求人はポンポンと選べるようになりました。

 

自分にとって、しっくりする言葉にたどり着くのも転職活動の大事な1ページですね。

今日はこのへんで。

転職エージェントを使うのは怖い?

転職エージェントとして、採用が決まった人との入社前面談は楽しい時間だ。

無事に転職先が決まったことが嬉しいし、感謝もされる。

 


そんな中で、「知人で転職を考えている人がいたら紹介してください」と案内するんだけど、

「後輩から転職ってどうやったんですかとか聞かれるんですけど、まだ転職エージェントに登録するには怖いって言ってるんですよ」とのこと。

 


そういえば自分もそんな気持ちを持ったことがあったなぁと思った。

 


何が怖いか?

 


無理やり転職させられるから?

いやそんなことじゃない。

 


外の世界へ思考を向けることで、現職に打ち込むエネルギーが削がれることが怖いのだ。

 


エージェントに対して、現職への不満を吐露することでその気持ちに歯止めがきかなくなるのが怖い。

現職への疑問や気がかりが溢れてしまうのが怖い。

 


その感情は、自分ではコントロールできないことだから。

 


そんな予感がしているのに、エージェントへ相談するのだ怖いのだ。

 


べつにエージェントの立場からすると、フラットにいまどんな選択肢があるのか、情報収集しておくことは、価値があると思うし、そんな利用方法をしてくれれば構わない。

 


けど、転職がちらつく人からすると、けっこうギリギリだったりするんだよね。

 


そして、真面目な人ほどそうなんだよな。

私が新卒で入ったベンチャー企業を辞めた理由

人が転職をする理由は一つじゃない。

実際には、大小さまざまな理由が頭に浮かんでいる。

ただ説明するときに、わかりやすく代表的な理由を抽出しているだけにすぎない。

 

自分のときもそうだった。

 

・結婚した

当時はよく言い争いをしていた。

なんせいつまでも帰りは遅いわ、月2回は代休なしで土曜出社しているわ、

年収は新卒から4年働いても300万届かないわ、不健康そうになっていくわ、で、

そんな様子を見せてたら、奥さんが不満というか不安になっていって、

会社を悪く言うようになっていく。そりゃそうだ。

でもこっちもぎりぎりで頑張っているから、そんな悪く言われたら気分悪いわけで。

 

そんな家庭とバランスをとるのには、ひどく疲れた。

 

・年収が低い

会社を辞めるころには、経営陣に次いでトップ4くらいの社歴や年齢になってたから、

いつか会社が大きくなったら一気に年収を上げられるという話をしていた。

その「いつか」のために頑張り続けていたが、29才年収270万じゃちょっと、

さすがに30代を見通すには不安しかなかった。

 

・経験が広く浅い

勢いだけで整っていない小さい会社の中で、しっかりと整える側のマインドだったから

社内のことは、マーケティングやら総務やら小口経理やら、幅広く携わった。

器用貧乏みたいな。

ゼネラリストにありがちかもしれないが、何かのスペシャリストにあこがれた。

 

AKB48の神7メンバーが卒業した

AKB48が初めてチャート1位になったのが2009年。そこから一気に知名度を上げて

2012、2013年頃には篠田麻里子板野友美が卒業。

私がベンチャーに入社したのは2009年、退職したのが2014年。

いわゆるブラックな環境で、大きな夢に向かって頑張る姿は、AKBと酷似していた。

そんな環境を辞める気持ちってどんなかなぁとよく想像したものだった。

 

・スティージョブズが亡くなった

彼の功績や名言に触れる機会がものすごく多かった。

「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、

 今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」

という言葉が、退職に踏み切らせたといっても過言じゃない。

それまで「この会社が大きくなるいつかのために、いまを頑張る」という

考え方でずっと生きてきていた。未来のために今を犠牲にしている感覚。

でもそれって、「今死んだらどうなるんだろう?」

すごく考えたけど、いつかのために今を生きることはやめようと思った。

当時の世相はジョブズの言葉から「やりたいことをやろう」という

メッセージを得ていた雰囲気があった。

けど、私は、今死んでも納得できるような選択と決断をしよう、という

信念を得た。

 

 

そういうわけで、私が人間関係の居心地は最高に良かった

ベンチャー企業を辞めた理由を、人に話すときには、

未来のために今を犠牲にするような生き方を辞めたから、と答えている。

 

多くの人が転職をする理由は、ほとんど一言に集約される

転職をしようとする人の経歴は実に様々。

だけど、転職をしようとする人の動機は、

離職中で転職先を見つける必要性がある場合や、

よっぽど不満がある場合を除けば、だいたい一言に集約される。

 

現職での長期的な勤務がイメージできない

 

具体的には

・自分の5年後10年後のロールモデルとなるような人がいないとか、

・体力が求められる働き方で続けられる気がしないとか、

・続けたときに身につくスキルを考えると数年後の自分の市場価値に不安があるとか、

・年収がさすがに低すぎるとか、

・会社の方針が見えないとか、

 だいたいこういった理由。

 

「今やっている仕事そのものには不満はない」

「人間関係に不満があるわけじゃない」

といった言葉が出ることもよくある。

 

『その状況は今に始まった話じゃないですよね?

 なぜいま転職活動をスタートしようと思ったんですか?』

と投げかけると、同僚が転職したとか、

節目の30歳が近づいて不安になったとか、

社内のモラルの低さに見切りをつけたとか、

そういった本当にこだわることのヒントが見えてくる。

 

 

 

さらっと話を聞いただけでは転職をする必要がなさそうな人もけっこう多い。

ただ、そういう人でも「なんかモヤモヤするんです」という心のしこりがあって、

うまく言語化できずに苦しんでいる場合がほとんどだったりする。

自分の状況を、自分で言葉にして伝えられる人は本当に少ない。

 

そんな人に対して、私はこう問いかける。

『今回の転職に何を求めますか?』

『今回の転職で、何を叶えたいですか?』

『転職先がどうだったら、今回の転職はあなたにとって成功と言えるでしょうか?』

 

もちろんそれでも、言葉は出てこないことがほとんどだ。

だから、相手の話を受けて、こちらからもいろいろぶつけてみる。

『それって、つまりこういうことですかね?』

『新しい仕事に変えることができて、ただ年収が下がったとしたらどうでしょう?』

『一番叶えたいのは、〇〇だというように私には聞こえました』

 

そうやって、思考を一緒になって掘り進めていく感覚。

 

と、ここまでやっていって

「考えがまとまって頭がすっきりしました!」という反応が返ってくる

転職希望者は、その後スムーズに進みやすい。

 

もともと「モヤモヤした気持ち悪さ」を自覚していたわけで

このままでは面接でうまく転職理由を伝えられない、ということに

危機感を持っていたタイプが多い。

自分に対する客観的な目線を持ち合わせているとも言える。

 

一方、心配なのは、自分の考えがまとまっていないことにすら気づいていないタイプ。

たぶん、そういう人には、私のこのキャリアコンサルスタイルは不評だろう。

いろんな質問をして考えてもらう分、面倒くさいから。

 

 

とまぁなんだかんだ言っても、

自分自身が対応できる転職希望者タイプの幅を広げていかなきゃならないんですが。

今日はそんな話。

 

 

社会人1社目にコンサルファームではなくベンチャーを選んだ理由

大学3年次、見つけたのがコンサルティング業界だった。

「会社の悪いところの原因を見つけて、とりのぞく。医者のような仕事」だと何かのサイトに書いてあって、これだと思った。

教える仕事であること、学びが必要な仕事であること、

ビジネスの世界でプロフェッショナルになれそうな仕事であることなど、

そんなところに惹かれた。

 

そういうわけで、内定に至ったのが、アビームコンサルティング

とにかくかっこよかった。会う人みんなスマートで賢かった。

覚えてないけど きっと年収も高かっただろう。

自分にとってすごく自然な選択肢だった。そちらを選べば、大学までの自分の延長線上にそのまま進んでいけるような気がした。

 

それでも、そこを選ばなかったのは、大学までの自分の延長戦上に進みたくなかったからにほかならない。

 

■■■■■

 

さもすんなりコンサルティングファームで内定をもらったかのように書いたが、実は就職活動ではけっこう落ちた。ほぼグループワークで落ちる。

 

本音を言えば、グループワークって、「リーダーやります」とか「タイムキーパーやります」とか、なんか白々しい感じがしてばかばかしい気がしていた。

そうやって企業が望むようなフォーマットをふるまうことがどうにもしっくりこなかった。

 

とはいえまじめに選考には臨んでいるつもりではあるんだが、選考官からすればきっと見透かされていたんだろう。冷めた目で俯瞰しながら選考に参加しているような態度が伝わっていたんだと思う。

自分でもいまいち身が入らないような感覚で、どうしたものかと思っていた。

 

そんな自分をはっきりと自覚できるきっかけがあって、「かわいい大人になろう」をテーマに置いた。

だって大学を卒業すれば社会人1年生になるわけだから。先輩がたくさんいる社会に飛び出ていくんだから。そんな小生意気なヤツがいたら、誰も見向きもしてくれないに違いないから。

 

アビームコンサルティングは、そんな自分に気づく前に応募して、合格してしまった企業。実際に内定者と顔を合わせてみても、当時の自分の目には、社会人1年生の謙虚さなんて持ち合わせていなく、よくわからないプライドだけは一人前のような人が多かったように映った。

 

この環境に入ったら、自分はきっと変わらないで済むんだろうなと思った。

そう思うと、絶対に選びたくなかった。

自分が嫌だと思うような人間になる道を、進む気にはまったくなれない。

 

一方で、ベンチャーのほうはというと、内定者をみても学歴は低い、会社もまだ設立3年くらい、社長も高卒、とスペックは断然低い。

ただ、そんなことはこだわるところじゃなくて、ただ自分を変えていける気がした

 

今日はそんな話。

 

すごく振り遅れる。

小5で野球を始めた話。

 

新しいことやってるわけだから、いろんな発見があった。

 

よく覚えてるのは、試合に出始めた頃の打席。

 

ここだ!と思ってタイミング合わせてバットを振ってみると、カキーン。

バットにボールを当てられたんだけど、すごく振り遅れて、打球はライト方向にファウル。

 

「自分が思った以上に自分のスイングは遅いんだ」

 

次はもっとタイミングを早めて振りだした。

カキーン。

またもやファウルで、打球はレフト方向へ。

 

当てるだけでも難しいのにタイミングをとるってこんなに難しいのか、とバッティングに絶望した。

 

自分が思っている姿と、自分が行なっている姿には、どうやらすごくズレがあるらしい。

そのズレを小さくしていくことが、自分を知ることらしい。

 

なんだかそんなことのタネみたいなことを体感した経験として、すごく頭に残ってる。

 

今日はそんな話。

 

「上から投げなさい」どうやら自分はできていないらしい

小学校5年生のころ、転校を機に、新しい友人に誘われて、野球を始めた。

 

野球の基本はキャッチボール。

そこで、最初に教えてもらったことが、「上から投げなさい」だった。

 

シンプルな話で、腕を上から縦に振り下ろして投げれば、

上下はともかくまっすぐの方向に投げられる。

腕を横に振ったら、球を放すタイミングによって、あらぬ方向に投げてしまう。

だから、上から投げなさい。そんな教えだった。

 

素直な僕という少年は、何度も上から投げたつもりだ。

ただ、いつも、「上から投げなさい」と注意をされる。

少し時が空いて、注意されなくなったと思ったら、やっぱりまた注意される。

どうやら注意されなかったのも、上から投げられるようになっていたからではなく、

言っても無駄だったから注視してもらえていなかっただけだったらしい。

そんなことの繰り返し。

 

そのときの自分は

・上から投げろという教えに納得していて、

・教えを実践しようと上から投げているつもりなんだけど、

・できないし、

・できない理由もよくわからない

状態だった。

 

当時はスマホなんてなかったし、あってもビデオカメラを構えるのは運動会くらい。

そんな時代だったから、自分がどんな投げ方をしているのか、

客観的に知るすべがほとんどなかったあの頃。

 

小5だったから、自分が困っていることをうまく言語化できずに、

「上から投げるんだぞ!」「はいっ!」と元気よく返事をすることしかできなかったな。

 

本当は、上から投げる方法が知りたかったんだけど、

誰もそれは教えてくれなかった。

 

 

その後、中学、高校、大学と野球は地道に続けていたけど、

「どういう言葉をかけたら、当時の自分は上から投げられたか」という問いを

ずっと頭のどこかに置いて過ごしてきた。

 

 

こんなことをきっかけに、教え方に興味を持つようになった。

今回は、そんなはじまりのお話。